本を読む2.『落語少年サダキチ』田中啓文著

落語を武器に、戦えサダキチ! 負けるなサダキチ!

えっ、そんな本じゃないって? でも少年が落語を武器に世界と戦う物語ってのは嘘じゃないと思うんだけど。

 『地獄八景』『漫才刑事』と続々と田中啓文さんの新刊が出る。

 ちょっと前なら間違いなく流行作家だ。いやまあ、今も充分流行作家なのだが、それなら豪邸に別荘と贅沢三昧していてもおかしくないのだが、どう見てもそうではないのは何故だ。なぜだかは知ってるけど。

 その絶好調の田中さんの新刊『落語少年サダキチ』はものすごく綺麗な本だ。こんな本を作れるということは作家として幸福だよなあとつくづく思う。

 朝倉世界一さんのイラストと挿絵の素晴らしさ。いつもながらの祖父江慎さんのアバンギャルドで素敵な装丁。物語の面白さは当然として、田中さんがいかにも楽しそうに描く少年とその周囲の愉快な連中。桂九雀さんの愛に満ちた解説。

 こういうものを子供の間に読めることもまた幸せだよね。

 とにかく読むもの書くもの作るものの三方が幸せになる本なので、みんなも読みなさい。で、幸せになりなさい。

 そして田中さん、出来るだけ速く続編を出して下さい。

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