駄文藝のススメ
日中は汗ばむような季節になってまいりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
牧野でございます。
小説や出版の話をしていると息詰まるような重苦しい雰囲気になる昨今。牧野はぱっと作ってぱっと遊べるこんな企画を考えたのでした。
名付けて『駄文藝』。
駄菓子・駄作・駄馬・駄洒落。「駄」のつく言葉はたくさんあります。基本的には「つまらないもの、粗悪なもの」につく漢字です。
しかし「駄」には「駄」の魅力があります。というかよくよく考えると私自身が「駄」なのではないか。駄作家ではないのか。そんなことをつらつら考えているうちに浮かんだのが駄文藝です。
駄文藝とは、文藝の裁ち屑のことです。
上方落語『地獄八景』に、地獄で売られる念仏の中で激安で一束いくらで売られている「念仏を作るときの裁ち屑」が出てきます。
駄文藝とはまさにこれ。文藝なるものをしたためようとする際に、形にもならず捨てられた文、冗談にすらならない文章の端切れ。それは文藝的なあれこれにおいて捨て去った「ない」物なので、手抜きや出来損ないですらない。
そんな文。
それが駄文藝です。
というわけで、有志の方々より「文藝の裁ち屑」を譲っていただきました。実際に自作を書いているときに削った文あり、考え事をしながらメモ帳の端に書いてしまった文もあり。このためにわざわざ作り出した「駄」(天かすをわざと作るようなものですね)もあります。
文字数は一応140字以内。というと北野勇作さんの「ほぼ百字小説」を思い浮かべる方もおられるかもしれないが、あれはもちろん立派な文藝です。140字というのは、Twitterですぐに計れる単位だからという「一山いくら」的な発想からです。
いただいた裁ち屑をセロファンで包装し袋に詰めたのが今回の『駄文藝』vol.1です。これを『こんなのはじめて』メンバー、及び知人数名に無理矢理送りつけるところまでが作品です。好評であれば第二弾第三弾と続けようかなと思ってのvol.1ですが、今回だけで終わる可能性は高いです。
以下が今回の『駄文藝計画』に参加して下さった方々です。
名前の下にあるのは、送って下さったときに書かれていた一言、メールの裁ち屑です。
○オキシタケヒコ
たぶん夢のメモかなんかだと思うものの本人はよく憶えてなく、読んでみても駄文としか言えぬものなので送りつけさせていただこうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○田中啓文
ボツ原稿ではなく、学生のときに作った曲の歌詞です。
○北野勇作
部屋の隅に落ちてたやつをひろいました。
○我孫子武丸
たった今、ツイートするのをやめた文章をお送りします。
○田中哲弥
なにか書いているときに捨てたやついっぱいあるわと思って漁ってみましたが捨てただけあってまったく使えませんでした。
○酉島伝法
ざっとすくった駄文をお送りします。
○小林泰三
まあ、小説を書くプロセスで生まれて、消えていった(物理的には消えてないですが)文章ということで、駄文藝でOKだと思います。いつか、この中のいくつかを組み合わせて小説になることもあるかもしれませんが、それはそれで構わないと思います。
以上七名(順不同)の奇特な方々のご協力で駄文藝は完成いたしました。感謝感謝でございます。
で、これはどこで手に入るの、と思われた皆さん。これは勝手に私が送りつけるところまでが作品なので、いつか妖精たちが枕元に駄文藝のパッケージを置いていくのを待つしかないのです。じゃあ、なんでブログに書いたって話ですが、これで多少評判が良かったら、Twitterとかで欲しい人を募ってもいいかなと考えているからです(誰も欲しがらない可能性が高いのですが)。もし興味がおありの方がおられましたら、その旨ハッシュタグ#駄文藝をくっつけてtweetいただけると、後で確実に読むことができて私が喜びます。所謂メールアートもどきのお遊びでございますから、馬鹿馬鹿しいというか、馬鹿そのものの計画ですが、一緒に遊んでいただければ幸いです。
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